論説で最も求められる力は、語彙力と論理力です。また、限られた時間で素早く文章を読み、解答のヒントを本文から探し、解答として仕上げる力も必要です。ここでは、「論説の読み方」と、「頻出問題の解き方」を説明します。
論説の読み方
筆者は、現代社会の問題点や自分の研究内容、意見などを読者に分かりやすく伝えるために、筋道を立てて文章を書いています。この話の筋道のことを「論理」といいます。
では、先生が作った次の文章を読んでみてください。
近年、地球環境問題は年々深刻化し、問題視されている。たとえば、人間の活動によって、大量の温室効果ガスが大気中に放出され、地球の気温が上昇し続ける地球温暖化の問題がある。この影響で異常気象が発生し、世界中で干ばつ、熱波、洪水、豪雨などの自然災害が発生している。また、大気中の微粒子や有害な気体成分が増加して、人の健康や環境に悪影響をもたらす大気汚染の問題や、海に廃棄された石油、ごみ、生活排水などが海洋を汚染し、海洋生物の生態系のバランスを脅かす海洋汚染の問題もある。このように、世界では様々な環境問題が深刻化し、我々の生活に影響を与えているといえる。
この文章の要点をまとめると、どのようになるでしょうか。
正解は、「世界では環境問題が深刻化し、我々の生活に影響を与えている。」です。
最初の一文がこの文章の話題である「地球環境問題」を示しています。「たとえば」から始まる連続する三文は、「地球環境問題」を具体的に説明しています。そして、「このように」から始まる最後の一文が文章をまとめています。
入試では、「論理」を追いかけて文章を的確に読み、理解することが求められます。論理を的確に追うために、文章に線を引いたり、〈 〉で囲ったり、指示語・接続語・キーワードを□で囲ったりしながら読み、「論理を視覚化」することが大切です。たとえば、上記の文章では、具体例を〈 〉でくくり、最後の一文に線を引き、「地球環境問題」を□で囲むと、何を伝えようとしているのかが読み取りやすくなります。
文章を目で追うだけでなく、「手」も使って読む。馬渕教室では、このことを「手読み」と呼んでいます。このように、「論理を視覚化」して読めば、問題を解くときのヒントを見つけやすくなります。
問題の解き方
神戸総理入試の論説で頻出なのは、「傍線部言い換え」の問題です。普段、現代文の勉強をしていると、「傍線部①『…………』とあるが、どういうことか。○○字以内で説明しなさい。」という問題をよく目にしますね。これが「傍線部言い換え」の問題です。
このタイプの問題は、傍線部と「イコール」の関係が成り立つように、解答を仕上げなければなりません。そのために必要なのは、①傍線部のパーツ分け、②言葉の読み繋ぎです。
傍線部は言葉の集合体ですから、傍線部をパーツに分け、それぞれの言葉を言い換えれば、傍線部全体を言い換えたことになります。その際に、「主語・述語・修飾語」を意識しながら、パーツに分けるとよいでしょう。
さらにパーツに分けたそれぞれの言葉が、本文のどこで説明されているかを探すことが必要です。答えの根拠は必ず本文にあります。読解の際の「手読み」を手がかりに、傍線部内の言葉を言い換えられているところを読み繋いでいきましょう。
この「傍線部言い換え」の問題は、記述だけでなく、抜き出し、選択問題としても出題されますので、授業を通して解き方をマスターしていきます。
A・・・は/・・・・・・/B・・・である。
B’・・・というのは/・・・・・・/A’・・・といえる。
※ポイント ①傍線部をパーツに分ける ②対応する言葉同士を読み繋ぐ